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近年、日本国内でも注目されつつあるタンゴセラピー。海外では10年以上前から病院施設などで様々な試みがおこなわれ、その癒しの効果、様々な疾患の症状改 善が報告されてきました。本校主催のサエ&フアン・カルロスは日本における高齢者に向けたタンゴセラピーの先駆けとなりましたが、このページではタンゴを使ったセラピーについて、ちょっと詳しくご案内します。

注意:タンゴセラピーで使われる「タンゴ」とは、歩くことを基本とする「サロンタンゴ」を指します。激しく官能的でアクロバティックな動きが特徴の「ステージタンゴ」との違いはこちらのページでご確認ください。

 

 

タンゴセラピーを使ったセラピーとその効能について

タンゴセラピーとは、基本的にサロンタンゴダンスの持つ効能を使ったセラピーで、認知症パーキンソン病心血管疾患精神疾患などの症状改善のために利用されたり、心理カウンセリングの現場では夫婦間の信頼関係の修復などにも用いられています。こうして多方面の医療現場で効果が認められているタンゴセラピーですが、タンゴの持つ意外な要素がこれらの疾患を快方へと促す作用をもたらしているのです。

サロンタンゴの、ほかのダンスにはない特性といえば「抱擁」が代表的です。タンゴは、アブラッソと呼ばれる深い抱擁の形で踊られるダンスですが、アルゼンチンでのタンゴセラピーの第一人者で精神分析医のトロセロ医師によると、抱擁による肌への刺激は過度なストレスが原因となる疾患の改善に効果的なのだそうです。

マッサージなどで肌をなでたり、だれかに包み込まれると眠気をさそうような心穏やかさを覚えますが、これと同じようにタンゴを踊るための抱擁も、互いに安心感を与え合っています。この安心感の原因は肌と肌の接触を感知して脳から放出される数種類の神経ホルモンのうちのひとつ、ペプチドホルモンのオキシトシンという物質。このオキシトシンの働きは様々ですが、そのひとつにストレスと強い関連性のあるCRHと呼ばれるホルモンの放出を抑制する働きがあります。CRHの放出が抑制されれば、ストレスが軽減され、結果として心穏やかな状態に。この一連の反応が、高血圧や心血管疾患など、過度のストレス状態によって引き起こされる病気全般の予防に効果的だというのです。

心臓疾患など生活習慣病とタンゴセラピー

サロンタンゴは歩く踊り」ということはこちらのページでもご紹介してきましたが、タンゴセラピーでもその「歩き」が利用されています。例えば、心臓疾患や高血圧、糖尿病などの生活習慣病では、継続的な有酸素運動が予防と症状改善につながるため日々の適度な運動を勧められますが、最近では「タンゴによる適度な運動療法」も広く認知されてきています。ブエノスアイレス市郊外ある心臓疾患専門の病院では2010年から患者を対象とした無料タンゴレッスンや楽団生演奏付きのタンゴパーティーを開催し、運動療法として心血管疾患の症状改善に取り組んでいます

タンゴを30分踊った際の運動量はウォーキングマシンの上を歩く30分と同じ、またミロンガ曲(タンゴの中の陽気でテンポの早い曲)を30分踊れば、早足で30分踊った場合と同じ運動量と言われています。タンゴが優れているのは、ひとりで黙々と歩くのとは違い、人と集まって交流を深めつつ音楽に乗って楽しめること。このように、タンゴは社交性と娯楽の要素をもつためリタイヤする参加者も少なく、継続して運動療法をおこなうことができるのです。

 

パーキンソン病の症状を抑えるタンゴセラピー

   

 

 

パーキンソン病は、2012年にやっと発病のメカニズムが解明されたたばかりの神経変性疾患で、手足の震え、筋肉のこわばり、緩慢な動作や表情や声の抑揚が無くなるといった運動症状のほか、気持ちの落ち込みや無気力状態など精神的な症状まで引き起こす病気ですが、このパーキンソン病の症状の緩和・改善のためにタンゴが用いられていますこのパーキンソン病とタンゴの結びつきは、タンゴダンスの名手プピ・カステーロというダンサーでした。このプピは往年パーキンソン病気を患っていましたが 「タンゴを踊っているときだけ身体の震えが止まる」ということを発見。担当医に報告したことから、症状緩和のための運動療法として取り入れられるようになりました。

                                現在、ブエノスアイレス市内でおこなわれているパーキンソン病患者のためのタンゴセラピーでは、まずタンゴ音楽のリズムに合わせて軽快に体をほぐすことによって、パーキンソン病特有の震えやこわばりを滑らかな動きへと導くウォーミングアップがおこなわれます。                                          その後、患者と家族などの付添人がペアになってタンゴを踊りますが、ここでは抱擁はあまり重視されず、腕を掴んだ状態でも良いとされています。一番重要なのは、患者自身が自分の体の軸の位置や体重移動などを意識し、そして付添人も同じように自分の体を使って確認すること。平衡を保たれた状態を意識し、平衡が崩れたときにはどのように対処するべきか、体での理解を助けてくれるのです。また、患者と付添人が互いに動きをシンクロさせることで、歩行に困難が出るパーキンソン病患者がスムーズな歩き方を取り戻す手助けとなります。そして、このタンゴセラピーは、付添人と二人一組でおこなうため万が一の転倒も防げるというメリットがあり、安心して参加できる運動療法でもあるのです。

パーキンソン病では「日常生活に不可欠な複数の同時進行の動き」をおこなうことが困難になっています。自己を表現するため大きな動きを繰り返すほかのダンスとは違い、サロンタンゴは足、腕、胸板など体の様々な箇所を同時に少しずつ動かしながらひとつの動きを完成させるダンスです。音楽に乗ってタンゴ踊ることは、日常生活での複数の動きを同時におこなう練習にもなっています。
 

 

 

 

 

認知症とタンゴ

日本では、認知症へのタンゴセラピーが映画などでも注目されましたが、この疾患へのタンゴセラピーでは脳への刺激と気分の高揚が重要なテーマです。タンゴはさまざまなステップを体に覚えさせ即興で踊るダンスですが、様々なステップを記憶し音楽に乗りながらそのステップを思い出して踊るという行為は、脳を刺激し、認知症患者の記憶力の向上につながると言われています。また、認知症へのセラピーで肝心なことは、楽しい気分を維持するということ。家族や介護者を悩ます認知症の症状は本人の記憶にないところで起こるものですが、そういう症状は気分が高揚しているときには基本的には発現しないと言われています。認知症へのタンゴセラピーでも介護者と被介護者が一緒に踊ることが多くなりますが、抱擁で安心感を与え合い、一方では音楽と基本のステップで脳を刺激しながら、楽しい時間を共有することで介護者と被介護者の絆を構築することが重要なテーマとなっています。

信頼と絆を生み出すタンゴで心のケア

タンゴの持つ人間関係の構築を促す効果は、関係の崩れた夫婦へのカウンセリングの現場でも同様におこなわれいます。信頼関係を損なった夫婦にタンゴを踊ってもらい、女性は後ろ向きに進むことで夫を信頼し、夫は妻を気遣う習慣を身につける。それぞれがお互いに依存しすぎず自分の足でたち、互いの動きに耳を澄ませ相手を尊重するという「あるべき夫婦像」をタンゴを通して学ぶというカウンセリングが実際におこなわれているのです。

こうしてタンゴセラピーの様々な例をあげてきましたが、全分野にわたって言えることはタンゴは精神的な安心感と高揚感をもたらすこと、そしてタンゴを踊ることで自然に自尊心が回復されていくということです。

なんらかの病気を患う患者は家の中に閉じこもることが多くなりがちで、社会的にも日陰の身になることが多々ありますが、タンゴを踊ることで外出の機会も増え、明るく社交的になるところもタンゴセラピーの良さだとされています。また、病苦や問題を忘れ、一緒に踊る相手とのシンクロを楽しみ、他者に自分の存在を肯定的に認められる感覚を味わいながらダンスの世界へと入り込むことは、結果的に患者の気分を向上させ、精神面での健康をもたらしているのです。

タンゴはひとりひとりの人間に自尊心を与えるダンスです。体の健康、心の健康にもしご不安がありましたら、銀座リベルタンゴ・アルゼンチンタンゴ・ダンススクールへぜひお越し下さい。誠心誠意、皆様のご健康と豊かな人生のためにお手伝いさせて頂きます。

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